書類の電子保存システムのメリットとは!
近年、テレワークの推進により、書類の電子化が広がっていますが、企業にとって書類を電子保存するにはどんなメリットがあるのでしょうか?
本記事では、企業が書類を電子化するメリットや、電子保存システムを導入することのメリットについて解説していきます。
1.書類の電子保存をするメリット・デメリット
まず、書類の電子保存を行うことで生まれるメリット・デメリットについてご紹介していきます。
電子保存のメリット
書類を電子化することで、以下のようなメリットがあります。
- 紙書類の保管や印刷にかかわるコストを削減できる
- 書類の劣化や紛失リスクを減らせる
- 書類の検索性が上がる
書類を電子化して紙の書類が減ると、印刷するための用紙やインク代、さらに印刷機を減らしたり、書類を保管するための場所代も減らすことができます。
また、紙の書類は汚れや経年劣化で読めなくなったり、紛失してしまうリスクがありますが、電子データで保管しておけば、いつでも保存したときのまま、書類を利用することができます。
さらに、書類をデータ化することで、書類を紙で管理していたときよりも、簡単に検索ができ、業務を効率化することができます。
電子保存のデメリット
一方、書類を電子化する際には、以下のようなデメリットについても考慮しておく必要があります。
- 業務フローが変わることがある
- 電子データで作業することに慣れる必要がある
- 法律で定められた様々な要件に従う必要がある
書類を電子化することで、今までと異なる作業が発生し、業務フローを変更する必要が出てくることがあります。パソコン作業に慣れていない社員がいる場合、慣れるまでの間、業務に時間がかかるということも考えられます。
また、書類の電子保存をするにあたっては、詳しくは次の章で説明しますが、いくつかの法律に従い、定められた要件にしたがって保存を行う必要があります。
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2.書類の電子化に関する法律
書類の電子化にあたっては、次の法律に従う必要があります。
e-文書法
e-文書法とは、2005年に施行された、商法や税法で保管が義務付けられた文書を一定要件のもとで電子化して保存することを認めた法律です。
具体的には以下のような書類が電子化の対象となります。
財務・税金関係書類 | 会計帳簿、領収書、請求書、見積書、納品書、注文書 など |
---|---|
決算関係書類 | 貸借対照表、損益計算書など |
会社関連書類 | 株主総会や取締役会の議事録など |
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は1998年に施行された、国税関係の帳簿や書類を一定の要件のもと電子データで保存することを認めた法律です。
具体的には以下の書類が電子保存の対象となります。
国税関係帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳 など |
---|---|
国税関係書類 | ・決算関係書類(貸借対照表、損益計算書) ・契約書、発注書、納品書、請求書 など |
e-文書法と電子帳簿保存法の違い
e-文書法と電子帳簿保存法では、以下のような違いがあります。
対象となる書類の範囲が違う
電子帳簿保存法とe-文書法で大きく異なるのはその適用範囲です。
電子帳簿保存法は財務省・国税庁が管轄する法律が対象です。
一方、e-文書法の対象範囲には複数の監督省庁が管轄する約250の法律があり、対象となる書類は多くあります。
保存に必要な要件が違う
e-文書法では、電子化をするにあたって、「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」という基本的な4つの要件があります。
一方、電子帳簿保存法では「真実性の確保」「可視性の確保」という2つの要件があります。
それぞれの対象となる文書に応じて、要件を確認しなければなりません。
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3.電子帳簿保存法の2022年改正について
電子帳簿保存法は、2022年1月に大幅な改正が行われました。
今回の改正では、電子保存をする際に税務署長の承認が不要になるなど、基本的にはさまざまな条件が緩和される方向に変わっています。
一方、大きく注意しなければならないのが、今回の改正からは、「電子取引でやりとりされた取引情報は、紙書類での保存が認められなくなる」ということです。つまり、電子データで作成された帳簿書類(上記の電子帳簿保存法の対象書類)は、オリジナルの電子データで保存しなければなりません。
そのため、まだ電子保存に対応していない企業は、早急に運用体制をととのえる必要があります。(2021年12月の財務省令により、2022年1月から2年間の電子取引情報については、一定の要件下でのみ、紙出力での保存が許容されています)
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4.書類を電子化する際の手順
書類を電子化するにあたっては、次のような手順が必要になります。
- 電子化する書類を決める
- データの保管方法を決める
- 紙書類をスキャンし、実際に電子データ化を進める
これまで紙書類で管理していた企業の場合、一気に文書の電子化をするには大きな手間や費用がかかり、難しくなります。そのため、まずは電子化すべき書類の優先順位を決め、段階的に取り組んでいく必要があります。
電子保存する書類を決めたら、次に電子データをどのように保存するかを考えなければなりません。それぞれの企業の業務のやり方に応じて、ファイルの保存ルールなどを決定します。法令に対応した専用のシステムやクラウドサービスもあるので、それらを利用することもできます。
データを保管する方法が定まったら、実際のスキャン作業に移ります。抜け漏れがないことや文字が正確に読めるかどうかを確認しながら、スキャンした電子データを所定の場所に格納し、電子化が完了します。
電子化の際の注意点
上記の手順で書類を電子化する際には、いくつか注意すべき点があります。
- 電子保存に関する法令に従う
- ファイル名やデータサイズなど、保存ルールを決めておく
- データ保存をする際に、あらかじめ検索できる形にしておく
電子化の際に最も注意すべき点としては、書類の種類に応じて、電子帳簿保存法等の法律に則って適切な保存方法をとる必要があるということです。
e-文書法では「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」の4つの要件に、電子帳簿保存法では「真実性の確保」「可視性の確保」という2つの要件に沿って保存する必要があります。
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書類を電子化するにあたり、ファイル名やフォルダの場所を決めておくと、電子化の作業が円滑に進みます。
また、書類をスキャンして読み込む際には、同時にOCR処理を行うと、データの検索性が上がり、上記の「検索性」要件をみたすことにもつながります。
5.電子保存システムを導入するメリットと選定方法
電子保存システムを導入するメリット
これまで書類の電子保存をするメリットや注意点について解説してきましたが、このように電子化に対応するにあたっては、考慮すべき点が多くあることがお分かりになるかと思います。
このように法律に沿った細かい要件や保存ルール等を満たすには、電子保存に対応したシステムやクラウドサービスを導入するのがおすすめです。システムを導入することで、書類を一元管理したり、データの検索性を高めることができます。
また、サービスによっては、他部署や他社との連携もしやすくなり、業務効率化につながります。電子保存システムの選定方法
書類の電子保存システムには、各社から多くのサービスが提供されています。そのなかで自社に最適なシステムを選ぶためにはいくつかポイントがあります。
- 自社の業務フローに対応できるか
- データの処理や検索性が高いか
- セキュリティ対策は十分か
企業によってデータの扱い方や書類の承認ルール等に違いがあるため、それらに対応できるか確認する必要があります。また自社でよく使うファイル形式に対応しているかということも重要なポイントになります。
次に、保存したデータを利用する際に、自社のデータが多い場合は、それを素早く処理できる能力があることが必要です。さらに、検索性が高く利用しやすい設計になっていれば、業務を行う上でより効率化が進むでしょう。
さらに、セキュリティ対策が十分になされているかということも、よく確認する必要があります。データを保存することができても、セキュリティ対策が万全でなければ安全に利用することができません。
以上のような点を考慮しつつ、それぞれの企業に合ったシステムを選定していくと良いでしょう。
6.まとめ
これまで、書類の電子保存について、メリットや注意点について解説をしてきました。電子保存には多くのメリットがある一方で、要件をみたすためには注意点も多いため、専用のシステムやクラウドサービスを利用するのもよいでしょう。
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