e-文書法とは? 電子帳簿保存法との違いを解説
紙の書類を電子データ化して保存するためのルールについて定められた法律である「電子帳簿保存法」と「e-文書法」。近年、リモートワークの推進などにより、企業が扱う多くの文書の電子保存が推奨されるようになり、これらの法律がより重要なものになっていると言えます。
今回はこの二つの法律の違いや押さえておくべきポイントについて解説します。
1.e-文書法とは
e-文書法とは、商法や税法で保管が義務付けられた文書を、一定要件のもとで電子化して保存することを認めた法律です。2005年に施行されました。
e-文書法というのは通称であり、正確には「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の二つの法律から成ります。
e-文書法で対象となる文書
e-文書法では、電子化の対象となる文書が定められています。
対象となる文書
- 財務・税金関係書類…会計帳簿、領収書、請求書、見積書、納品書、注文書、契約書など
- 決算関係書類…貸借対照表、損益計算書など
- 会社関連書類…株主総会や取締役会の議事録など
対象外の文書
- 緊急時にすぐに見る必要性があるもの(船舶の手引書など)
- 現物を所持している必要性があるもの(許可証、免許証など)
- 条約による制限があるもの
また、これらの文書を電子化するためには、一定の要件が定められており、それについては後述します。
2.電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を一定の要件のもと電子データで保存することを認めた法律で、1998年に施行されました。
正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。
従来、帳簿や書類は紙での保存が義務付けられていましたが、ITの進歩や環境意識の高まりなどの時代の変化に合わせて、法律が整えられてきました。これまでに何度か改正も行われています。
電子帳簿保存法で対象となる文書
電子帳簿保存法で対象となるのは、具体的には以下の書類です。
国税関係帳簿
- 仕訳帳、総勘定元帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳など
国税関係書類
- 決算関係書類(貸借対照表、損益計算書)
- 契約書、発注書、納品書、請求書 など
3.e-文書法と電子帳簿保存法の違い
ここからは、e-文書法と電子帳簿保存法の違いについてポイントを解説していきます。
対象となる書類の範囲が違う
電子帳簿保存法とe-文書法で大きく異なるのはその適用範囲です。
電子帳簿保存法は財務省・国税庁が管轄する法律が対象ですが、一方、e-文書法は複数の監督省庁が管轄する約250の法律が対象になります。
そのため、e-文書法のほうが対象となる書類は多くなります。
保存に必要な要件が違う
e-文書法では、電子化をするにあたって、「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」という基本的な4つの要件があります。
一方、電子帳簿保存法では「真実性の確保」「可視性の確保」という2つの要件があります。
それぞれの対象となる文書に応じて、要件を確認しなければなりません。
4.e-文書法の要件
e-文書法の要件について解説していきたいと思います。
1.見読性
パソコンやディスプレイなどを用いて、文書を明瞭な状態で見られるようにすることが必要です。
2.完全性
保存期間中の文書の滅失や毀損を抑止する措置が取られていることが必要です。内容が勝手に改変・消去されず、また改変・消去が起きた場合にはその事実がわかるようになっていなければなりません。
また原本が改ざんされずに正しい日付で保存されていることを証明するために、電子署名とタイムスタンプを使用します。
3.機密性
不正アクセスの抑止や、許可なくアクセスできないようになっている必要があります。
4.検索性
文書を有効に活用するため、必要なデータをすぐに引き出せるようにしておく必要があります。
5.まとめ
今回は、e-文書法について、電子帳簿保存法との違いや、その要件などについて確認してきました。
文書の電子データ保存に関するルールは、文書の種類によって異なり、また法改正によって年々変化するものもあるため、注意が必要です。
電子データ保存の細かいルールについて把握するのが面倒という方には、システムやクラウドサービスを利用するのがおすすめです。
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