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改正温対法とは?

2022年4月、カーボンニュートラルの実現を目指す「改正地球温暖化対策推進法」(改正温対法)が施行されました。現在、地球温暖化による気候問題への対応が全世界的な課題となっていますが、この改正温対法により、日本でも温暖化対策の取り組みが進められていくと思われます。今回はこの改正温対法について解説していきます。

1.「温対法」とは

温対法とは、「地球温暖化対策推進法」の略で、1998年10月に制定されました。

地球温暖化の対策には、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減することが大切です。そのため、国内における温室効果ガス削減をすることで、地球温暖化対策を進ようという目的で作られた法律です。

2.成立の経緯

1997年に「京都議定書」が採択され、先進国全体に対して、温室効果ガス削減の具体的な数値目標が定められました。これにより、日本では2008年から2012年の間に、1990年比で6%の削減をすることになりました。

これにより、国や地方自治体だけでなく、企業や個人レベルでも地球温暖化対策に取り組まなければならなくなりました。そのために制定された法律が、1998年10月に制定されたこの「地球温暖化対策推進法」なのです。

なぜ地球温暖化対策が必要なのかについては、以下の記事を参考にしてみてください。

3.温対法の内容

温対法は、企業における温室効果ガス排出量について、その算定と報告を義務化しました。

具体的には以下のような内容になっています。

報告義務

下記のいずれかに該当する企業について、報告義務が定められていました。

  • 全事業所の一次エネルギー合計が1500kL/年以上
  • 全事業所の全ての温室効果ガスの合計が3,000t – CO2/年以上

情報開示

  • 全事業者集計:環境省HPより無料で入手が可能
  • 個別詳細情報:開示請求が必要(紙やCDなどのオフライン・有料)

また、報告から公開まで2年の期間を要しました。

温対法では、このように温室効果ガス削減についての具体的な数値目標が定められていませんでした。このため、温暖化対策を進めていくための強制力が働かないため、企業もなかなか動きづらいという状況がありました。

また報告から公開までの期間が長いことで、ESG(※)を重視する投資家にとっての判断も難しくなっていました。

ESGについては、以下の記事を参照してください。

4.改正への流れ

2002年6月に京都議定書が締結され、それにより日本では温暖化対策に必要な体制を整備するために、温対法の最初の改正がおこなわれました。

その後、2015年には、世界共通の長期目標が定められた「パリ協定」を採択しました。

これにより温暖化対策がさらに推進されることになります。

2020年10月の臨時国会では、菅首相(当時)による「2050年カーボンニュートラル」宣言がおこなわれ、これを受けて2021年5月に7度目となる温対法の改正がおこなわれることになったのです。

5.「改正温対法」2022年4月改正の3つのポイント

長期目標:2050年までに脱炭素社会の実現

まず挙げられるのが、前述した「パリ協定」の1.5℃目標や「2050年カーボンニュートラル宣言」といった基本理念が明確に法律のなかに位置付けられたという点です。

このような長期的な目標に対する理念が法律上ではっきりと示されたことにより、企業としても地球温暖化対策に取り組みやすくなります。

また、条文の中に初めて「国民」という文言が入り、カーボンニュートラル実現のために、個々人による協力が必要だということが示されました。

再生可能エネルギーの導入と地方創生

これまでは、地方公共団体による温暖化対策では、再生可能エネルギー事業に関する地域トラブルが起こるなど、それぞれの地域による方向性を定めることが難しい状況にありました。

そのため、今回の改正では、再生可能エネルギーの利用促進に向けて、施策実施への目標が追加されています。

また、地域脱炭素化促進事業をおこなう事業者は、市町村の認定を受けることができ、施設の整備などで必要になる許可手続きも容易になるなどの特例を受けることができるようになりました。

これにより、企業にとっても再生可能エネルギー事業への取り組みがおこないやすくなります。

企業の温室効果ガス排出量の公開

今までの温対法では、一定以上の温室効果ガスを排出する事業者に対して、排出量の報告義務がありましたが、その報告手段は紙媒体が基本であり、公表までに約2年かかるなどの課題がありました。

今回の改正では、情報の透明性をより高めるために、原則的に電子システムでの報告となり、事業所ごとの排出量の情報を、すぐに公表できるようになりました。具体的には報告から公表までの期間は1年未満に短縮される見込みとのことです。

さらに、今まで情報の閲覧に必要だった開示請求手続きが不要になり、事業所単位の温室効果ガス排出量は全てオープンデータ化されることになりました。

これにより、誰でも簡単に情報にアクセスし、閲覧することが可能になったのです。

6.改正で今後どうなるのか

では、改正温対法によって、今後世の中はどう変わっていくのでしょうか。
政府により具体的な数値目標が定められたことにより、以下のような変化があると考えられます。

再生エネルギー導入の促進

改正温対法により、前述した地域レベルでの再生エネルギー活用事業の計画・認定の仕組みが作られたことにより、各地域間における合意形成がおこなわれやす くなり、再生可能エネルギー導入までのスピードが上がることが考えられます。

ESG投資の増加

事業者の温室効果ガス排出量が電子化され、誰でも簡単にアクセスできるようになったことに加え、公表までの時間が短縮されたため、事業者の温室効果ガス排出に関する情報が活用されやすくなることが考えられます。

そのため、ESGへの取り組みを考慮した投資である「ESG投資」が活発化することが予想されています。

投資家からより高い評価を受けるために、事業者のESGに対する取り組みもより推進されることと思われます。

国民のライフスタイルの変化

2021年10月に閣議決定された地球温暖化対策経過によれば、2030年度の温室効果ガス排出に対して、家庭部門では2013年度比で約66%の削減が求められています。

環境省では「ゼロカーボンアクション30」を提言し、脱炭素型のライフスタイル促進を呼びかけています。

具体的には以下のような取り組みが求められています。

「ゼロカーボンアクション30―日常生活における脱炭素行動と暮らしにおけるメリット」より

ゼロカーボンアクション30

  • 再エネ電気への切り替え
  • クールビズ・ウォームビズ
  • 節電
  • 節水
  • 省エネ家電の導入
  • 宅配サービスをできるだけ一回で受け取る
  • 消費エネルギーの見える化
  • 太陽光パネルの設置
  • ZEH(ゼッチ)……建て替え、新築時の、高断熱で太陽光パネル付きのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
  • 省エネリフォーム
  • 蓄電池(車載の蓄電池)・蓄エネ給湯器の導入・設置
  • 暮らしに木を取り入れる
  • 分譲も賃貸も省エネ物件
  • 働き方の工夫
  • スマートムーブ……徒歩・自転車・公共交通期間で移動、エコドライブ、カーシェアリングの活用
  • ゼロカーボン・ドライブ……再エネ・ゼロカーボン燃料とEV/FCV/PHEV
  • 食事を食べ残さない
  • 食材の買い物や保存等での食品ロス削減の工夫
  • 旬の食材、地元の食材でつくった菜食を取り入れた健康な食生活
  • 自宅でコンポスト
  • 今持っている服を長く大切に着る
  • 長く着られる服をじっくり選ぶ
  • 環境に配慮した服を選ぶ
  • マイバッグ、マイボトル、マイ箸、マイストロー等を使う
  • 修理や補修をする
  • フリマ・シェアリング
  • ごみの分別処理
  • 脱炭素型の製品・サービス
  • 個人のESG投資
  • 植林やゴミ拾い等の活動

7.まとめ

今回は2022年4月施行の改正温対法について解説してきました。

温暖化対策のために、企業や個人レベルでCO2削減について努力していく必要があります。

弊社のGO!!というサービスでは、紙の書類を電子管理することで、CO2削減につなげていくことができます。また電子管理により、CO2排出量をどれだけ削減できたのかが一目でわかるため、社員のモチベーションアップや、企業としても脱炭素化への取り組みをおこないやすくなります。

ぜひ一度、ご利用を検討していただければ幸いです。

本コラムは、ユーエスエス編集部がお届けします。

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ユーエスエスグループで開発する製品は、電子化・業務改善システムが多くあり、グループ累計で5000社以上の企業で利用されています。

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