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ペーパーレス化(電子化)を行うメリット・デメリット

ペーパーレス化

近年、環境意識の高まりや、情報技術の発展などにより、企業におけるペーパーレス化(電子化)の流れが加速しています。

2022年1月からは、電子帳簿保存法の改正により、その動きはますます活発化していくと考えられます。

こちらの記事では、ペーパーレス化の基礎知識からメリット・デメリット、推進するためのポイントなどについてご紹介していきます。

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1.ペーパーレス化とは

まず初めに、ペーパーレス化に関する基本的な事項から確認していきたいと思います。

ペーパーレス化とは、紙に記された情報を電子データの形に変えていくことで、紙の使用をやめることをいいます。「ペーパーレス」の他に、「ペーパレス」や「ペーパレス化」と呼ばれることもあります。

企業においては、営業資料や帳簿書類など、もともと紙で印刷されていた物をExcelファイルやPDFファイルなどの電子データとして保存するようにすることで、印刷代等のコスト削減を図ることをいいます。

また、それ以外でも、紙の本や雑誌を電子書籍に変えることや、紙のコンサートチケットなどを電子チケットへ変えるというようなことも、ペーパーレス化といえます。

ペーパーレス化はなぜ必要なのか?

そもそも、なぜ今、ペーパーレス化が必要とされているのでしょうか?

まず挙げられるのは、紙を減らすことによって、文書保存のためのコスト削減や、紙の原材料である森林保護などの環境保全に役立つということです。

従来は紙ベースでの保管が義務づけられていた文書も、時代の流れに合わせて「e-文書法」や「電子帳簿保存法」などの法改正が行われ、電子文書として保存することが可能になりました。

2019年4月から政府が提唱する「働き方改革」の具体策の一つとしても、ペーパーレス化が含まれています。さらに、近年のリモートワークの増加により、どこにいても閲覧・編集のできる電子文書の必要性はますます高まってきました。

ペーパーレス化は今や、企業にとって必要不可欠であると言えます。

ペーパーレス化の現状

下図は国内の企業における社内・社外手続きの電子化の状況について、総務省が調査を行ったものです。(調査対象は2020年度に電子決済、電子契約システムを利用している企業 n=529)

社内稟議における手続きに関しては、40%近くが「すべて電子化されている」のに対し、社外取引(グループ会社以外)に関しては「すべて電子化されている」が10%未満であり、「まったく電子化されていない」企業も25%以上存在するなど、社内と社外との差が大きくなっています。

これはそれぞれの企業によって、電子化の進行状況にばらつきがあることを示しているといえます。

(出典)
第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題
(6)「働き方改革」とデジタル化
図表1-2-4-15 社内・社外手続きの電子化の状況
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112460.html

2.ペーパーレス化のメリット

ここからは、ペーパーレス化によって、企業の側が受けられる具体的なメリットと、導入時に注意しておきたいデメリットについてご紹介していきます。

ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化のメリットは大きく分けて次の5つがあります。

  1. コスト削減
  2. 業務効率化
  3. 資産の確保
  4. セキュリティ強化
  5. 企業価値の向上

1.コスト削減

企業におけるペーパーレス化のメリットのひとつに、まずコスト削減が挙げられます。多くの場合、文書を紙で管理していると、以下のようなコストが発生しています。

  • 紙代
  • 印刷代
  • 印刷機器のリース代・メンテナンス費用
  • 文書の郵送・運搬費用
  • 文書の廃棄費用
  • 人件費 など

ペーパーレス化によって、これらのコストを減らすことができると考えられます。

2.業務効率化

ペーパーレス化のメリットとして、次に、業務効率化も可能であることが挙げられます。

  • 文書作成の効率化

    ペーパーレス化によって、事務作業の効率化を図ることができます。なかでも、文書作成において、負担を大きく軽減することができます。

    従来、紙の文書では、文書作成時に誤字や脱字などが発生する度に、文書を一から作成し直さなければなりませんでした。

    しかし、電子文書であれば、文章や文字を間違えても後から修正をすることが容易であり、さらに入力項目を自動チェックする仕組みを作るなどの工夫もできます。

    このようにして、文書作成作業の効率化をすることで、事務職員の負担を大きく減らすことができます。

  • 社内稟議の効率化

    社内で稟議を行う場合、紙の申請書や稟議書の場合は、承認者や決裁者の元へ文書を手渡ししてまわったり、他部署へと運ぶ際には手間もかかります。

    また、承認者や決裁者が不在時には、そこで回覧が止まってしまい、ロスタイムが発生してしまいます。

    ペーパーレス化を行い、電子決裁などができるようになれば、ネットワークを介して文書をやりとりできるので、オフィスにいなくても文書を承認・決裁することができ、社内稟議をスムーズに行うことができます。

  • 文書管理・保管の効率化

    ペーパーレス化によって、文書そのものの管理・保管の効率化をすることができます。

    紙の文書を管理・保管する場合、文書を種類ごとに分けてファイルに入れ、ラベルを貼って保管場所へ収納する、などの作業が発生します。

    そして、文書を使用する際には、そのように保管された大量の文書の中から、必要な文書を探し出す必要があり、とても手間がかかります。

    文書を電子化していれば、物理的なスペースを使用することなく、サーバー上に文書データを保存しておくことができるため、必要な文書を検索することが容易にできます。

    また、文書を紛失・汚損するリスクに備えるという点でも、メリットがあります。

  • リモートワークがしやすくなる

    文書を電子化することにより、編集や閲覧、押印などのために紙の文書をいちいち会社に取りに行ったりする必要がなくなります。また、複数人で資料を共有することがしやすくなるため、自宅や取引先などから会議に参加する、ということもできるようになります。

3.資産の確保

紙の文書を保管するためには、保管場所が必要になります。文書を保管するための場所の確保の他にも、文書を収納するためのキャビネットやラック、ファイルや保管箱などの備品も揃えなければなりません。キャビネットが大きければ、転倒防止用品なども必要になります。

保管する文書の数が膨大になればなるほど、これらの備品を用意する費用の負担も増大していきます。

ペーパーレス化によってこれまで発生していた保管費用が不要になり、保管場所のスペースを別の目的に活用することもできます。

たとえば、自社の社員のリフレッシュスペースや会議室にしたり、シェアオフィスとして他社の社員に貸し出すといった活用方法もあります。

4.セキュリティ強化

紙の重要書類の情報漏洩を防ぐには、鍵のかかるキャビネットを用意するなどの対処が必要になります。また、書類の持ち出し方法や廃棄方法など、全ての社員にルールを徹底させなければなりません。

その他にも、紛失や盗難、汚損や、紙の経年劣化などで書類を失い、復元が困難になってしまうといったリスクもあります。

書類を電子化しておけば、重要な書類にはパスワードをかけることができ、また担当者ごとにアクセス制限・閲覧制限をかけることもできるため、より細かくリスク管理をすることが可能になります。

また、電子化された書類は劣化しないため、何度でも出力することができます。もしも個人のパソコンが壊れてしまっても、サーバー上にバックアップがあれば復元することもできます。

5.企業価値の向上

ペーパーレス化を進めることは、紙の消費を抑えることになり、森林伐採を減らします。

森林を保護することは地球温暖化を防止するために役立ち、環境保護活動の一環でもあります。

このように、ペーパーレス化を推進するということは、これからの持続可能な社会を目指すうえで必要不可欠なことであり、そのような取り組みを実践することで、企業としての社会的価値を高めることにもつながります。

3.ペーパーレス化のデメリット

ここからは、ペーパーレス化をしていくにあたり注意すべきデメリットについて説明していきます。主なデメリットとして考えられるものは3つあります。

  1. 導入コストがかかる
  2. 使う人のスキルによっては難しいことがある
  3. システム障害や故障のリスク

1.導入コストがかかる

ペーパーレス化するためには、パソコンやタブレットなどの電子機器が必要となり、人数分の購入費用がかかります。

また、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサーバーの費用などの必要になります。このような環境が用意されていない場合、初期のコストが負担に感じるかと思われます。

ですが、選択するサービスによっては、必要な機能を絞ることで、コストが抑えられることもあります。

また、長期的にみれば、印刷代や人件費等の削減ができることから、ペーパーレス化をした方が結果としてコストを削減ができると考えられます。

2.使う人のスキルによっては難しいことがある

社員のITスキルが低い場合、ペーパーレス化の障害になることがあります。

業種や職種によっては、デジタル機器の扱いに不慣れな方もいるため、電子文書を扱うことに戸惑いを感じる場合もあると思われます。

しかし、そのような場合については、事前に丁寧に研修を行ったり、紙の書類のように直感的に扱えるシステムを選ぶことで、スムーズな導入を促す方法もあります。

3.システム障害や故障のリスク

システム障害等への不安から、ペーパーレス化をためらう企業もあると思われます。

システム障害によってデータが失われたり、その間の業務がストップしてしまうのではないかという懸念があるかと思います。

しかし実際には、紙の文書で保管しておくよりも、文書データが紛失するリスクというのは小さいです。なぜなら、データ化された文書はサーバ上に保存することでバックアップすることができ、万が一の場合でも、バックアップデータからの復元が可能だからです。

4.ペーパーレス化を推進するポイント

ここまで、ペーパーレス化を推進するメリットとデメリットについてご紹介してきました。ここからは、ペーパーレス化を成功させるための方法についてご紹介していきます。

ペーパーレス化を推進するには、(1)必要性の理解 (2)スモールステップ (3)ツールの活用という3つのポイントがあります。順を追って説明していきます。

1.必要性の理解

ペーパーレス化をしていくにあたり、まず重要なのが、経営層にペーパーレス化の目的を伝え、必要性を理解してもらうということです。

ペーパーレス化は会社の業務全体を大きく変えるため、経営層の理解なしには進めることができません。会社にとって、ペーパーレス化をすることでどんなメリット・デメリットがあり、業務がどう変わっていくのかを整理して伝えるようにする必要があります。

同様に、従業員の理解も重要になってきます。

実際にペーパーレス化された環境で働くのは従業員であるため、ペーパーレス化を会社全体で推進していくためには、現場の声には真摯に耳を傾ける必要があります。

ペーパーレス化を実現することで、長期的に見て業務の負荷が下がることなどを理解してもらい、従業員全体で目的意識を共有していく必要があります。

2.スモールステップ

すべての文書を一気にペーパーレス化しようとすると、従業員の負担が大きすぎるため混乱を招き、結果としてペーパーレス化が失敗する原因となります。

まずは少しずつ、スモールステップでの取り組み開始をおすすめします。部署単位、プロジェクト単位でのペーパーレスの取り組みを行うことです。

また、文書を次のような項目で分け、グループ別に整頓していくことも有効です。

  • 必要か/不要か
  • 電子化が必要か/紙のままで良いか
  • 誰が管理しているか

このような段階的な取り組みを行うことで、ペーパーレス化の効果や利便性を実感でき、従業員の協力も得られやすくなると考えられます。

3.ツールの活用

ペーパーレス化を進めるためには、様々なツールの活用が必要になってきます。多くのサービスの中から、必要な機能をよく検討して選ぶ必要があります。

ここからは、ペーパーレス化でよく使われるツールについて説明していきます。

  • オンラインストレージ

    オンラインストレージとは、インターネット上にデータを保存したり、共有したりできるディスクスペースのことです。データの保管や共有が簡単にできるために、企業だけでなく、個人でも多く使われるようになってきています。

    業務を行う際に、複数のメンバーで一つの文書を使用することがありますが、これらのサービスを使えば、簡単に文書を共有することができます。

  • 電子文書管理システム

    電子化された文書を保存・管理するシステムのことです。文書を日付順や内容別に並べ替えたり、文書の内容をキーワード検索したりすることで、必要な文書をすぐに見つけることが出来ます。社内決裁システムを兼ねていることもあります。

    サービスによっては、システム内で文書を作成できたり、取引先との間で文書を送受信できるものもあります。

5.まとめ

今回は、ペーパーレス化の基礎知識や、メリット・デメリット、推進のためのポイントについてご紹介しました。

ペーパーレス化によって、業務効率化やコスト削減ができるのみならず、環境保全にもつながり、企業の社会的価値も高めることができると言えるでしょう。

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本コラムは、ユーエスエス編集部がお届けします。

JIIMA認証を受けたGO!!電帳を提供するユーエスエス

ユーエスエスグループで開発する製品は、電子化・業務改善システムが多くあり、グループ累計で5000社以上の企業で利用されています。

文書情報管理士を取得した当社スタッフがコラムを監修し、電帳法・文書管理等の情報を発信しています。

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