請求書の控えは電子保存していいのか?
電子帳簿保存法の改定により、請求書の電子保存に対応しはじめた企業は多いでしょう。しかし、請求書は原本保存が原則とされており、控えも電子保存していいのか悩んでしまいますよね。
今回の記事では、請求書の控えを保存してもいいのか?また、その場合の保管方法や期間について解説します。
1.請求書の控えは保存が必要?電子保存できるの?
請求書の控えは、必ず保存が必要なのか気になるところでしょう。請求書をデータ保存している企業にとっては、控えも電子で保存できるのかは確認しておきたいところです。請求書の控えの取り扱いと、電子保存できるのか否か解説します。
請求書の控えを作成したら保存が必要
請求書の控えは、請求書を送付した事実を残すために発行する書類です。本来請求書を発行した側は、請求書を保存する義務はありません。しかし、請求書の控えを発行した場合は、受け手と同じように保存義務が発生します。
紙で請求書の控えを保存すると、ファイルの仕分けをするだけで大変でしょう。請求書を電子保存している企業ならば、請求書は電子で保存して控えは紙で保存するとなると、混乱してしまいます。請求書も控えも、電子データでまとめて保存したいと考えている企業は多いでしょう。
請求書の控えは電子データで保存できる
国税関係の帳簿書類は、控えも同様に電子帳簿保存法の要件を満たせば電子データでの保存が認められています。控えも紙に印刷する必要なく、電子データで保存できます。
請求書の控えに対する電子帳簿保存法の要件は、「真実性の確保」と「可視性の確保」です。真実性とは、請求書の控えの内容が間違っていないこと、データが改ざんされていないことを証明できる状態です。会社が発行したとわかるように、電子署名やタイムスタンプを入れておくと、その日時に発行した証明となります。
可視性の確保をするには、誰でもすぐに控えの内容が確認できるように保存場所のマニュアルを用意し、データの検索ができるようにします。担当者など決められた人だけが知っている状態では、可視性は確保されていません。いつでも誰もが確認できるように、保存場所の操作ができるようにマニュアルを作っておきましょう。
これらの要件を満たせれば、請求書の控えは電子保存できます。紙の控えがたくさんあって管理が大変な人や、電子データでまとめたい人はぜひ要件に従ってデータ化してみてください。
インボイス制度導入後は控えの作成・保存が義務化
これまで、請求書の控えの発行は義務づけられていませんでした。しかし、2023年10月からインボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者に対して、請求書の控えの発行が義務づけられます。
消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイスの発行・保存が必要です。取引内容を証明する書類が必要になるため、請求書発行側は控えを準備しておかなければなりません。
適格請求書を発行・保存しなければ、仕入額控除が受けられず消費税を余分に支払うことになります。インボイス導入に対応できるように、今から控えの作成と保存を徹底しておきましょう。
2.請求書の控えの保存期間は?
請求書の控えは、どれくらい保存する必要があるのでしょうか?事業者や状況によって保存期間は異なります。それぞれの場合の保存期間について確認しましょう。
法人は原則7年間
法人の場合は、原則7年間保存する必要があります。7年間の計算方法は、請求書の作成日や発行日から換算するものではありません。確定申告書の提出期限の翌日から数えて7年間です。
法人の確定申告書の提出期限は、事業年度終了の日から2ヶ月以内となっています。3月決算であれば5月末、12月決算ならば2月末が提出期限となります。会社の決算日から数える必要があるため、保存期間を勘違いして処分しないように気をつけましょう。
欠損金額がある事業者は10年間
欠損金額があり、税額控除を受ける場合は10年間控えを保存しなければなりません。欠損金額とは、法人税を計算する時に所得金額がマイナスとなった金額のことです。
欠損金額が生じた事業者は、一定期間欠損金額を繰り越して黒字と相殺できます。税額控除を受ける関係から、欠損金額が生じている事業年度に発行された控えは、10年間保存しなければなりません。
現在欠損金額がなくなった場合でも、欠損金額が生じた期間は10年間保存が必要です。年度ごとにまとめておき、欠損金額が生じた年度はわかりやすく記載しておきましょう。
個人事業主は原則5年間
個人事業主は、原則5年間保存する必要があります。保存期間の計算方法は、法人と同じく確定申告の提出期限から換算します。
しかし、個人事業主でも消費税課税事業者に該当する場合は、法人と同様7年間保存しなければなりません。消費税課税事業者に該当する個人事業主は、1,000万円の売上を超える事業者です。
インボイス制度導入により、消費税課税事業者の申請を行った場合は、1,000万円以下の売上でも7年間の保存が必要です。消費税課税事業者となると、事業関連の書類の保存期間や消費税の申告義務が発生します。
3.請求書の控えの管理方法
請求書の控えは、一定期間保存が必要です。そのためには、請求書の控えを適切に管理する必要があります。
入金状態で分類して管理する
請求書の控えは、入金状態に合わせて分類すると管理しやすいです。
- 入金待ち
- 入金済み
- 未入金
上記の3つに分類すると、控えと入金状態を照らし合わせて管理できます。取引先から問題なく入金されているかの確認も行いやすいでしょう。
入金待ちから入金済みに分類する時は、控えに記載されている金額と入金額に相違がないかチェックしておきましょう。取引先によって、手数料の処理によって金額が異なっている場合や、端数の金額を切り捨てられている場合があります。
入金日をまとめている企業が多いため、複数の企業の振込金額を確認しなければなりません。しかし、チェックが漏れて後から取引先に問い合わせることを考えれば、入金日に確認した方がすぐに対応してもらえるでしょう。
入金が確認できた控えは、入金済みとわかるようなハンコを押したり、赤でチェックを入れたりしておくと分類しやすいです。
入金待ちの控えをチェックしながら入金済みに分類すれば、未入金のものがあった時もひと目でわかります。取引先の数が多ければ多いほど、請求書の控えは膨大な数になります。一つ一つチェックする作業は大変ですが、分類して管理すれば未入金のものや入金間違いのものを探す時に手間がかかりません。
控えにも請求書番号をつける
請求書の控えを管理しやすくするために、控えにも番号を付けましょう。請求書のように番号をつける義務はありませんが、管理しやすくなります。電子データで保存する場合は、番号を頼りに検索すると、入金済みの控えに漏れがあることを確認できます。
請求書の控えに定める番号に決まりはないので、社内で把握しやすい番号の組み合わせを決めるとよいでしょう。
4.まとめ
請求書の控えは電子保存が可能です。インボイス制度の導入に合わせて、今から控えの作成・保存を徹底しておきましょう。法人は7年間保存が必要なので、改めて管理方法を確認しておくといざという時も安心です。
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