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パリ協定とは?

地球温暖化対策にまつわる話題の中で「パリ協定」という言葉を目にすることがあるかと思います。今回は「パリ協定」について解説します。

1.パリ協定とは?

パリ協定とは、2015年にパリで開かれた「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で採択された、気候変動問題に関する国際的な枠組みのことです。

パリ協定は2016年に発効され、2020年以降の温室効果ガスの削減に関する世界的な取り決めが示されました。

この中では、世界の平均気温上昇を、産業革命以前と比較して2℃(努力目標1.5℃)に抑え、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという長期目標が掲げられています。

この「温室効果ガス排出を実質ゼロにする」ことを「カーボンニュートラル」と呼びます。

また、同じ時期に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標13にも「気候変動に具体的な対策を」という項目があり、この2015年を機に世界中で気候変動に対する取り組みが活発化し始めました。

2.採択された背景と経緯

1992年、ブラジルのリオデジャネイロにて「地球サミット」という会議が開かれました。この中で国連気候変動枠組み条約(UNFCC)が採択され、地球温暖化問題に関する国際的な取り組みが設定されました。

この条約にもとづき、国連気候変動枠組み条約締約国会議(通称COP)が毎年おこなわれるようになり、1997年には京都会議(COP3)にて京都議定書が採択されました。

京都議定書では先進国(日本、アメリカ、EU諸国、カナダなど)が温室効果ガス削減目標の対象国となり、温室効果ガスの排出量削減目標が初めて具体的に定められています。

この京都議定書に代わる2020年以降に向けた新たな国際的枠組みとして、2015年にフランスのパリで開催されたCOP21で採択されたのが「パリ協定」です。

パリ協定では、先進国だけでなく途上国も対象となっており、歴史上初めて全ての国が参加する公平な合意となったのです。

3.パリ協定の概要

パリ協定の概要は、以下の通りです。

  • 世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
  • 主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
  • 全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
  • 適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
  • イノベーションの重要性の位置付け。
  • 5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
  • 先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
  • 二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。

世界共通の長期目標『2℃目標』

パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃よりも十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという、世界共通の長期目標が掲げられました。

これを『2℃目標』と呼びます。

2℃目標を達成するため、「できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとること」、つまりカーボンニュートラルを達成することが求められています。

全ての国が対象––目標やプロセス、報告書の提出を義務付け––

パリ協定は、歴史上初めて全ての国が対象となる合意です。

削減目標は各国に任されていますが、この目標は5年ごとに更新され、前回の目標の達成状況を報告しなければなりません。

また削減状況は、第三者機関により、世界共通の評価基準で公正な評価が行われます。

5年ごとに国際的に実施状況を確認して情報交換をおこない、各国の取り組みを強化しています。

法的拘束力を持つが罰則はない

京都議定書では、成果が出なかった場合には罰則規定がありました。

しかしパリ協定は、法的拘束力は持つものの、成果が出ない場合でも罰則はありません。

これは罰則があることによって、脱退する国が出ることを防ぐ目的であったと言われています。

罰則がないことで、5年ごとに削減目標を正確にレビューし、より目標をブラッシュアップしていけるようになると考えられています。

イノベーションの重要性

温室効果ガス削減目標を達成するためには、経済活動のあり方をこれまで通りにしていてはいけません。

特に環境技術の分野においては、さまざまなコストを下げるために、これまでにないイノベーションを起こすことが求められています。

そのため、先端技術の開発が進められるように、長期的な視野を持って投資等をおこなっていく必要があります。

途上国への資金の提供

緑の気候基金(先進国から途上国へ送られる基金)と呼ばれる資金支援があります。

これは京都議定書の発効時からおこなわれているものですが、パリ協定後も継続しておこなわれる取り組みとなっています。

途上国が気候変動への対処をおこなうための支援を目的としていますが、パリ協定では、先進国だけでなく支援能力のある新興国からも自主的に資金支援することを求めています。

市場メカニズムの活用(クレジット制度)

温室効果ガスの排出削減量を取引するシステムのことを『クレジット制度』といいます。

パリ協定では、『ベースライン&クレジット方式』と『二国間クレジット制度』をおこなうことができます。

ベースライン&クレジット方式は、温室効果ガスの削減事業をおこなった際に、事業がない場合と比べた排出削減量の差をクレジットとして取引できるという仕組みです。

二国間クレジットは、脱炭素社会に向けた優れた技術や製品、サービスなどを途上国に提供し、途上国においておこなわれた温室効果ガスの削減や持続可能な開発に対して、その成果を二国間で分け合うという制度です。

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html

4.日本の取り組み

日本では、2021年10月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」が閣議決定され、取り組みの方向性が示されました。

この決定では、以下のような取り組みが挙げられています。

エネルギー部門

  • 電力の非化石化
    再生可能エネルギーの導入促進や、原子力発電所の再稼働により、電力の非化石化(脱炭素化)をおこなう。
  • 省エネルギー
    2030年度のエネルギー消費を、対策前と比べて6200万kl程度削減する。

産業部門

  • 二酸化炭素排出に関わるカーボンニュートラルに向けた対策
    企業におけるエネルギー転換に向けた設備費用などは高額になるため、既存インフラ・設備を利用可能な合成メタン・合成燃料の活用などの様々な選択肢を追求していく。
  • 代替フロン分野におけるカーボンニュートラルに向けた対策
    強力な温室効果のある代替フロン(HFCs)の排出増加傾向を早期に減少に転じさせ、最終的にフロン類を廃絶することを目指す。
  • 企業経営における脱炭素化
    政府と産業界が連携して、削減貢献量の定量化や、具体的事例の普及・啓発活動をおこなう。サプライチェーン全体での取り組みを進めることにより、脱炭素化を経営に取り込む企業数を増加させる。

運輸部門

  • 電動車等を活用した交通・物流サービスの推進
    2030年度を目標年度として、自動車の製造業者等に、新たな基準の達成を通じた新車の燃費向上を促していく。
    また、産官学が連携し、次世代大型車の開発・普及をおこない、電動化技術の開発やその実用化等をはかる。
  • 自動車の電動化に対応した都市・道路インフラの実装
    EV設備の公道設置社会実験をおこなう。また、走行中給電システム技術の2020年代半ばの実証実験開始を目指し、研究開発支援をおこなう。
  • 鉄道、船舶、航空の脱炭素化
    鉄道については、軽量タイプの車両の利用、省エネルギー、太陽光発電施設の導入を推進する。
    船舶では、水素・アンモニア等のガス燃料船等に関する技術開発や、安全基準の整備をおこなう。
    航空分野では、機材・整備品等への新技術導入や、管制の高度化による運行方式の改善、持続可能な航空燃料の導入促進、空港施設・車両等のCO2排出削減や、空港施設そのものを再生可能エネルギー拠点化するなどの取り組みをおこなう。

参考:https://www.env.go.jp/content/900501973.pdf

5.まとめ

今回はパリ協定とその達成への取り組みについて解説してきました。

パリ協定で求められる温室効果ガスの削減のためには、企業としてもできることがあります。

たとえばオフィスでのペーパレス化などにより、CO2の発生を減らすことができます。

弊社のGO!!電帳というサービスを使用すると、社内の書類を簡単に管理でき、ペーパレス化を推進することができます。

またそれによるCO2削減量も一目でわかるようになっているため、社内での環境問題への意識向上にもつながります。

ぜひ一度、検討してみてください。

本コラムは、ユーエスエス編集部がお届けします。

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