カーボンニュートラルとは?〜脱炭素社会実現のために企業がすべきこと〜
近年、環境問題への取り組みの中で、「カーボンニュートラル」という言葉を耳にすることがあるかと思います。この記事では、カーボンニュートラルの基本知識から、その実現のために企業としてすべきことについて解説していきます。
1.カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、CO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスの排出を、「全体としてゼロ」にするという意味です。対象となる「温室効果ガス」とは、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなどを含みます。
これらの温室効果ガスの排出量を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、植物によるCO2の吸収や、CO2を除去する技術等を利用することで、温室効果ガスの「排出量」と「吸収・除去量」を「差し引きゼロ」にすることを目指しましょう、ということです。
2.なぜ、カーボンニュートラルが必要なのか
世界の平均気温は、工業化以前の時代(1800〜1900年)と比べると、2020年時点で約1.1度上昇していることがわかっており、このままでは、今後もさらなる気温上昇が続くことが予想されています。
地球温暖化は、既に世界中に深刻な影響を及ぼしています。猛暑や豪雨による自然災害の増加、それによる自然生態系の変化や農林水産業をはじめとする経済活動への被害は、人々の生命の維持までをも困難にしています。
こうした状況はやがては人類や全ての生き物にとっての生存基盤を揺るがす事態となるため、早急な解決を図る必要があるのです。
気候変動の大きな原因となっている温室効果ガスは、私たちの日常生活や経済活動に伴い、日々排出され続けています。地球温暖化を食い止めるためにも、カーボンニュートラル、そして脱炭素社会を実現する必要があり、今からその実現に向けて取り組んでいく必要があります。
3.いつまでにカーボンニュートラルを実現するのか
2020年より、気候変動問題に対する国際的な枠組みである「パリ協定」の本格運用が開始されました。
パリ協定は、歴史上初めて、全ての国が参加する公平な合意で、主に以下のような内容です。
パリ協定の概要
- 世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
- 主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
- 全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
- 適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
- イノベーションの重要性の位置付け。
- 5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
- 先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
- 二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。
(外務省HPー外交政策ー気候変動 より引用)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html
このパリ協定では、上記のように、産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えるという目標が設定されており、そのためには2050年前後までのカーボンニュートラルの実現が必要であるとの報告がなされています。
そのため、近年、各国において「2050年までのカーボンニュートラルの実現」を目指す動きが活発化しています。
4.カーボンニュートラル実現のためにすべきこと
2020年10月26日、菅総理は内閣発足後初の所信表明演説で、2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。この2ヶ月後には、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、より具体的な実行計画が提示されました。
これにより、国内の各企業においてもカーボンニュートラルへ取り組むことがますます求められるようになってきました。
企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット
カーボンニュートラルに取り組むことは、企業にとっても大きなメリットがあります。たとえば以下のような点が挙げられます。
コストの削減
カーボンニュートラルに取り組むことでまず得られる効果として、コストの削減が挙げられます。
たとえば、自社で使用する電力を、再生可能エネルギーである太陽光発電へ切り替える方法があります。自社で太陽光パネルを設置し、自家発電を行うことで電気代の節約を行うことができます。
また、今後、化石燃料の高騰が起こった際にもコスト増加のリスクを抑えることができます。
太陽光発電への切り替えは、パネルの設置コストなどが一時的にかかるものの、長期的に見ればコスト削減につながります。
企業の信頼性・イメージ向上
次に、企業のイメージアップという点が挙げられます。
地球温暖化をはじめとする環境問題への対応は、世界中で喫緊の課題であり、既に多くの企業が取り組んでいます。
脱炭素社会に向けての取り組みを行うことで、企業に対する信頼性やイメージの向上につながります。
それにより、優秀な人材の確保や新たな取引先の獲得においても、有利に働くと考えられます。
資金調達の面で有利に
さらに、企業経営において重要な資金調達についての有効性も上がります。
投資家の間では近年、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governence)」を重視したESG投資が一般的になっています。カーボンニュートラルに積極的に取り組むことで、他企業との差別化を図ることができ、投資対象としての評価も向上すると考えられます。
企業がカーボンニュートラルに取り組む方法
企業がカーボンニュートラルに取り組む方法については、具体的には以下のようなことが考えられます。
省エネルギーの推進
まず挙げることができるのは、企業活動で使用するエネルギーそのものの削減です。
たとえば、照明をLEDに変えるなど、オフィスでの節電や、廃熱を回収するヒートポンプの設置などが挙げられます。
ペーパーレス化
業務において書類を紙で管理している場合、紙の廃棄・焼却のために大量のCO2を発生させていることになります。ペーパーレス化を推進することで、CO2排出量の削減につながり、カーボンニュートラルの実現に役立ちます。さらにペーパーレス化を行うことで業務効率化ができ、それによって省エネルギーにつながるという副次的な効果もあります。
再生可能エネルギーへの切り替え
使う電気自体を、再生可能エネルギーによる発電方式に切り替えることも有効な方法です。火力発電の代わりに、太陽光・風力・水力などの発電方式を採用することで、CO2排出量の削減につながります。
電力会社との契約プランを切り替えるほか、自社で太陽光パネルを設置し、自家発電を行う方法もあります。
ネガティブエミッション
温室効果ガスを削減する方法として「ネガティブエミッション」という方法があります。これは、大気中から二酸化炭素を除去・削減させる技術のことです。
このような新しい技術を利用することで、カーボンニュートラルを実現することができます。
カーボン・オフセット
「カーボン・オフセット」とは、カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスの排出削減を図っているものの、どうしても削減しきれなかった排出量に見合った分を、他社などにおける温室効果ガス削減活動に投資したり、植林や環境保護活動への寄付を行うことで埋め合わせていくという考え方のことです。
設備などの問題で、自社で直接的に削減が難しい場合でも、このような方法をとることで、間接的に全体としての温室効果ガス削減に取り組むことができるといえます。
5.まとめ
今まで説明してきたとおり、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、企業として取り組まなければならないことが多くあります。
まだ対策に取り組めていない企業にとっては、まず自社におけるCO2排出量の削減目標を立て、それを着実に実行していくことがカーボンニュートラル実現にとって必要であると言えます。
弊社のGO!!電帳というサービスでは、従来紙で管理していた書類等を電子管理することで、ペーパーレス化を行うことができ、それによって削減できたCO2の量も一目でわかるようになっています。
カーボンニュートラル実現への第一歩として、ぜひご利用を検討していただければ幸いです。
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