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オゾン層の破壊は何が問題? 〜 原因と対策、現在の状況について解説〜

環境問題として語られることの多い「オゾン層の破壊」ですが、なぜ問題なのかは意外と知らないという人もいるかと思います。

今回はオゾン層の破壊はなぜ問題なのか、原因や防ぐための方法、現在の状況まで解説していきます。

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1.オゾン層とは?

オゾン層とは、地球上空10km〜50kmの成層圏にある、オゾンという気体が多く集まった層のことをいいます。

オゾンとは酸素原子3つからなります。分子式はO3で折線型の構造を持つ、酸素の同素体(※)です。

大気中のオゾンの90%はこの成層圏に存在しています。

オゾン層は太陽からの紫外線を吸収することができ、成層圏の大気を温めます。そのため、地球の気候の形成に大きく関わり、また地上の生態系を保護しています。

上空に存在するオゾンは、0℃で地表に存在させた場合、約3mm程度の厚さしかありません。このようなわずかな量のオゾンが、有害な紫外線を防いでいるのです。

※同素体……同じ元素を持つ単体のうち、原子の配列や結合様式が異なる物質同士のこと。酸素(O2)とオゾン(O3)は、酸素原子という共通の元素を持つ同素体。他にはダイヤモンドと黒鉛(グラファイト)、黄リンと赤リンなども同素体です。

気象庁 ––オゾン層とは––
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-10ozone.html

2.オゾン層が破壊されるとどうなるのか

オゾン層は、太陽の紫外線を吸収しています。したがってオゾン層が破壊されると、吸収できない紫外線が地表に多く降り注ぐことになります。

では、紫外線が地表に届く量が増えると、どんな影響があるのでしょうか?

紫外線とは

太陽からの光は、波長により、赤外線、可視光線、紫外線に分けられます。可視光線よりも波長の短い光が紫外線と呼ばれ、人間の目で見ることはできません。

紫外線(UV=ultra violet)はさらに、波長の長い方からUV-A、UV-B、UB-Cと分けられ、次のような特徴があります。

  • UV-A(315〜400nm)……大気によって吸収される量は少なく、大部分が地表へ到達する。生物に与える影響はUV-Bに比べて小さい。
  • UV-B(280〜315nm)……成層圏のオゾン層によって大部分が吸収され、残りが地表に到達する。生物に大きな影響を与える。
  • UV-C(100〜280nm)……成層圏とそれよりも上空のオゾンによって全て吸収されて、地表には到達しない。

オゾン層の破壊によって、UV-Bが地上に多く到達することになり、生物にとって大きな影響を与えることになります。

気象庁 ––紫外線とは––
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html

3.オゾン層の破壊はなぜ起こるのか

1970年半ばに、人工的に作られた物質であるフロン(クロロフルオロカーボン)がオゾン層を破壊するということがわかりました。

フロンはかつてエアコンや冷蔵庫、スプレーなどに使われており、廃棄されるときなどに大気中に大量に放出されていました。

フロンは地上付近では分解されにくく、大気の流れに乗って成層圏にまで到達します。

成層圏まで運ばれたフロンは、太陽からの紫外線を受けて分解され、塩素を発生させます。この塩素は触媒となって、オゾンの分解をさらに進めていきます。

オゾン層を破壊する物質はフロンだけではなく、他にも消化剤に使われるハロンなどの物質によって発生する臭素も、オゾン層の破壊を進めてしまいます。

4.オゾン層破壊の現状

人間の経済活動によって排出されたフロンはオゾン層の破壊を進めますが、現在までにオゾン層を保護するための取り組みもおこなわれてきました。

1985年には「ウィーン条約」が、1987年には「モントリール議定書」が採択され、世界的にフロン等のオゾン層破壊物質の使用が規制されました。

日本では2001年に「フロン回収・破壊法」が交付され、エアコンや冷蔵庫で既に使用されているフロンについても回収・破壊が義務付けられました。

これらの規制の成果として、1990年代半ばをピークに、成層圏におけるオゾン層破壊物質の量は減少しており、オゾン層は回復してきているといえます。

しかし、オゾン層が1980年の量に回復するには、南極では2066年頃、北極では2045年頃、全地球の平均(高緯度を除く)では2040年頃までかかるといわれています。

気象庁 ––オゾン層保護の取り組みとオゾン層の今後の見通し––
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-35ozone_longfcst.html

5.オゾン層を守るためにできること

オゾン層が回復するには、フロンなどのオゾン層を破壊する物質を使わないことが一番の対策になります。

フロンガスの規制をおこなったり、環境に優しいガスの開発を進めることによって、オゾン層を守っていくことが大切です。

6.まとめ

今回はオゾン層の破壊について解説してきました。

オゾン層の破壊を防ぐには、一企業だけの努力では難しいものがあります。

しかし、オゾン層の破壊以外にも、環境問題はたくさんあります。

これを機に、他の環境問題についても調べてみて、自分達にできることから取り組んでいくことが大切です。

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